20201003

4時半に起きた。悲しみにごめんねの挨拶をした。しかし悲しみは許してくれなかった。私が死神との約束を優先させたからである。家と呼ばれる場所に帰ってくると23時か24時だった。昨日は18:30くらいには帰ってきた。今日は昼まで眠ったが今はこの場所を出た。スフィアン・スティーブンスという人が『ジ・アセンションズ』という新譜を出したが人はこれを警告だの病だの錯乱のポップスだのあることないこと言う。だが人はいつでも何かを言う。『ジ・アセンションズ』は真に不気味で美しいアルバムであることだろう。それだけではなくつい自分でも何かできそうな気持ちになるような、創作意欲的なものをかき立ててくる素晴らしい作品であることだろう。もっとたくさん曲を作ってみたいものだ。だがあらゆる建前を取り払うと「やりたいこともやりたくないことも全部やりたいしやりたくない」のだ。光の中を進む闇の羅針盤にはいかなる目盛りも刻まれていない。数字を示すことはおろか、どんな方角を指し示すこともない。もっと言えばそれは意味のない黒曜石なのだろう。というかドラゴングラスなのだろう。

“夜の王”が率いる〈死者の軍勢〉を倒すことができる物質はドラゴングラスとヴァリリア鋼、そして炎のみである。ドラゴングラスは黒曜石によく似た石で、約1万年前“最初の人々”と“森の子ら”はこれを用いて〈死者の軍勢〉を退けた。残るふたつのヴァリリア鋼と炎……炎はいわゆるドラゴンのことだろう。これらは同じものだ…なぜならそれは東のヴァリリア帝国からウェスタロスにもたらされたものだ…ヴァリリア帝国は約400年前(デナーリス誕生を元年とする)に突然滅亡した。ヴァリリア人はもともとは羊飼いの一族だったが、あるとき火山の火口に(ふもととも言われる)見慣れない獣が生息しているのを見つけた。その獣はドラゴンと呼ばれた。彼らはその獣を手懐け、巨大な帝国を築き上げた。

【引用】https://gameofthrones.fandom.com/ja/wiki/

ヴァリリアは既知の世界の中で独自の言語、宗教、慣習を持った支配的文明となる。いくつもの植民地をつくり、街道を通して首都と植民地を繋げていた。西部の植民地のいくつかは自由都市となった。これらの自由都市は後に、ロイン河に沿って建つロイン人の都市国家との争いが勃発。ロイン戦争にまで発展した。約1000年前についにロイン人が敗北、都市が破壊された。ナイメリアに率いられ、生存者はウェスタロス南東部のドーンに移住した。

数世紀前、ヴァリリアの名家のうちの一つであるターガリエン家が、ウェスタロス大陸の沿岸に、ヴァリリアとの交易拠点としてドラゴンストーン城を築く。

約5000年もの間、ヴァリリアの覇権は続いた。しかし「破滅」と呼ばれる、14の炎の大規模な噴火が起き、ヴァリリアの首都、人、周囲の土地を破壊した。ヴァリリア半島自体も荒廃し、その部分に海が触れて煙立つ海となった。ヴァリリアの歴史はもちろん、ドラゴンや呪文、知識なども失われ、権力の中心が破壊されたことにより帝国は崩壊。自由保有地を治めていた有力なドラゴンロードの家々のうち、ターガリエン家だけが生き延びる。破滅の何年か前に、狭い海を越えたところにドラゴンストーン城を建設していたためだ。

無事に残った植民地は、お互いに敵対しながら独立都市国家へと発展した。西部では植民地が自由都市となり、東部の奴隷商人湾では過去に征服されたギスカル帝国の都市が独立を主張したが、5000年に及ぶヴァリリア支配下で、元の文化のほとんどが消え去っていた。

自由保有地の心臓部が破壊され、生存する植民地も西から東まで独立を主張し、大陸を動かそうとした政治面での争い、支配権を巡って繰り広げられた暴力的な戦争などの一連の出来事は、血の世紀と呼ばれた。ヴォランティスは自分たちの統治の下にヴァリリア再建を試みるが失敗する。西部の植民地は自由都市を築き上げ、東部では奴隷商人湾に立つ町となった。ヴァリリア半島中心は荒廃し、見限られたままとなっている。

同じころ、目を光らせていたヴァリリア人とドラゴンがいなくなったのをいいことに、ドスラク人がドスラクの海の平原から大軍を引き連れて大陸を一掃。略奪の限りを尽くし、周囲の地域から新たな領土として土地を削り取った。ドスラク人からすれば、破滅の到来は征服と拡大の黄金期の始まりだった。エッソスの北西部遠方では、ヴァリリアから逃げてきた奴隷によって秘密裏に建設されたブレーヴォスの市が頭角を現した。他の植民地が混乱の極みにいる中、自由保有地との、政治的もしくは経済的なつながりがなかったため、すぐに自由都市の中で一番強力な市へと登りつめた。”

なぜ人間世界の〈死〉を打ち砕くことができる物質が、ドラゴングラスヴァリリア鋼なのだろう。不思議なことだが同時に必然にも思える。ドラゴングラスはまた、ウェスタロスに七王国を築き上げた最初の唯一王エイゴン・ターガリエンがその拠点と定めたドラゴンストーン城の地下に大量に埋没していた。城下の洞窟の奥には“最初の人々”および“森の子ら”が描いた思われる壁画が刻まれていた。

なぜ人間世界の〈死〉を打ち砕くことができる物質が、ドラゴングラス、ヴァリリア鋼、炎なのだろう。わからないが、どれもウェスタロスの東から来たものだ。そして、ウェスタロスにとって、“東”とは、単なる方位以上の“何か”があるのだと、思われる。それは“何か”を表しているのだと、思われる。アリア・スタークが“西”へ去ったことに意味があるのと同じように、〈死〉が“北”からやって来ることに意味があるのと同じように、大陸ウェスタロスにおいて“東”という方角が持つ意味とは、〈過去〉という時間を超越した何か、物語がはじまる前の意味というか、生まれる前の意味のようなもの、太古の呪術や魔法がはびこる不可知の領域、未知の領域・認識の限界の向こう、といったものであるが、“最初の人々”およびアンダル人たちはその領域から現れたのである。

彼らは東から現れたのである。つまりこの全体の地理の把握されていない地上の平面世界において、“人間”と呼ばれる謎の生き物は、西へ、西へ、向かい続けているということになる。ゆえにアリア・スタークが物語の最後に地図には描かれていないさらなる“西”へと去ったのは、彼女が来たる未来の新しい大陸で、次の“最初の人々”になるためである。また氷の世界である“北”から出ずる〈死〉を打ち砕ける唯一の物質は、すべて不可知の領域である“東”からもたらされたものである。それはまぎれもない“生のかたまり”のような、物質として狂った強度を持ったドラゴングラスヴァリリア鋼、そしてである。おそらく生きた人間もまた、その強固な物質の一つとして数えることが可能なのである。それはまぎれもない生のかたまりなのである。そしてそれ自体数字や目盛りの刻まれていない全開の羅針盤なのである。