20200720南部の気質

0時半に寝た。4時半に起きた。5時の電車に乗った。『氷と炎の歌』を読んでいた。もしくは窓の外を視ていた。もしくは小澤の薦めでヨハン・ヨハンソンの『Orphée』を聴いていた。数字の時間は便利だが、ときに何の意味も持たぬ。ヨハン・ヨハンソンに加え、オーラヴル・アルナルズの『Island Songs』またはシガーロスの『Takk』など、私がいつも北部特有の深刻さに惹かれるのは、おそらく私の中にスターク家と同じ〈最初の人々〉の血が流れているからであろう。昨夜のSuchmosの配信ライブはすべて未発表の新曲であった。アーカイブ配信は一切行わなかった。20時から21時まできっちり生演奏を行った。彼らは南部人の気質であった。生を謳歌する流儀であった。彼らは着道楽であった。吸い道楽であった。草臥しの楽士であった。煙草の葉がじりじり燃える音がイヤホンからも聴こえてきた。スタジオは白い煙に覆われていた。「煙草うめぇー」とボーカルのyonceが言った。私はそれをじっと視ていた。一昨日はキリンジの配信ライブであった。彼らはブレーヴォスの鉄の銀行“アイアンバンク”の連中のように律儀で廉潔であった。誰も演奏中に微動だにしなかった。「10秒、いや、30秒休憩しよう」とボーカルの堀込高樹が言うと、バンドメンバーは黙ってミネラルウォーターを飲んだ。「ああ、疲れた…」とギターの弓木英梨乃が笑みを漏らしながら言った。堀込高樹は振り向き、「これが終わったら、甘い物を食えばいいさ。そうだ。ドーナツを食べよう」と言った。私はそれをじっと視ていた。一体何なんだろうか。これは何なんだろうか。彼らは一体何をしているんだろうか。なぜドーナツなのだろうか。なぜ演奏しているのだろうか。なぜ人間はこうなのだろうか。