20200524 the1975の新譜

the1975の新譜は創作の喜びに満ち溢れている。ように感じる。まるで日々の細やかなアイデアやスケッチが面倒くさい強迫観念なしにそのまま日常の作品へと昇華されたかのよう。だ。最近までCDという媒体・形式だった音楽がますます時間や物質の境目をなくしてネットの海のなかで自由になっていくかのよう。だ。「一曲」といった概念から解き放たれたような作品はソランジュの『When I Get Home』や小袋成彬の『Piercing』などがある。最初にその手法をやったのは誰なのだろうか。ビートルズアビーロードは断片的なメロディやフレーズを全体の巨大な一曲のメドレーへと収束させたが、ソランジュや小袋成彬の新譜において個々の断片はあくまで断片のままであり、まるで貝やラピスラズリの美しいモザイク画のようだ。いや。小袋成彬の『Piercing』何と美しいことか。これこそ日々の「記憶」という名の貝やラピスラズリではないか。何と美しいガラス片なのか。彼の親しい友人たちの話し声や過去の切れ端や、日々のなかで浮かんで消えるイメージといったものが慈しむように散りばめられており、決してその全体が具体的なかたちを取ることはない。という形式そのものが、日常の抽象的な美しいガラス細工と化しておる。しかしthe1975の新譜の何と素晴らしいことか。最初は意味がわからなく、22曲聴くのが辛かったと言える。でも何度も聴けば聴くほど、涙を禁じ得ぬ美しさを感じる。音楽を作る楽しさに満ち満ちていると言える。そしてその楽しさが遅かれ早かれ・多かれ少なかれ、全員に例外なく訪れるような可能性に満ち満ちていると言える。あらゆるジャンルを無頓着に横断し、何というか形式にとらわれずに遊び尽くしているような素晴らしさを感じる。そして時たま訪れる法外な音色の美しさがまた聴きたくて始めからリピートしてしまうと言える。音楽は誰にでも作れるということが実感できる。(音楽に限らない)。ゆえに勇気付けられる。毎日休みだったらいいのに。