20200419南進

かつては夏の陽光のなかに遠い郷愁を感じたことがあった・ような気がする。草原や青空や白い雲に自分の心を重ねたことがあった・ような気がする。そしてその空の向こうに誰かの笑顔を思い浮かべたことがあった・ような気がする。他人の奏でた青春の調べを自らの心に塗りたくることによって一種の有機的なインテリアと化していた時期があったような気がする。それが今ではどうだろうか・私には剣しかなくなってしまったではないか。剣のかっこよさしかわからなくなってしまったではないか。それ以外理解できない頭になってしまったではないか。元気を吸い取るセンチメンタリズムは陽気な天使に売り渡してしまったではないか。私は<冬来たる>であり、<炎と血>であり、<われら種を播かず>であり、<訊け、わが咆哮を!>であり、<折れぬ、抂げぬ、まつろわぬ>であり、<氏神は復讐の神>であり、<高きこと誉れの如く>であり、<一族、本分、名誉>であり、<われら強大たるべし>であり、<冬の太陽>であり、<志、死に場所に立つ>である。古今の神々に誓って、これこそ真の社会人と言えよう。ヴァルハラへと至る真の騎士道と言えよう。25歳になった。R.E.M.のMonsterというアルバムを自らの旗標に掲げた。その紋章は熊の生首だった。そのアルバムは私と同じ年に生まれた。私はこれを自身の記号にすることで、自らをなるべく物語化したかった。そのサウンドは陽炎にも似た鈍いトレモロ音と退屈なミドルテンポとエレキテルのカラカラ音を標榜している。私はこれを人生の環境音にしていきたいと思った。そして南進し続けたいと思った。