20190215双子の軍神

あ…あ……chaiは双子の軍神。地上に新しく創造をもたらす・わずか一年でセカンドアルバムのリリース。マスメディアの奔流カルチャーの奔流全国ツアー海外ツアーの奔流のなかでどう正気を保った。正気を保つどころではない。私は知っている。理解できる・彼女たちは正気を保つための曲づくりでもあったことはおろか、正気を保つことなど最初から知らぬ。わずか一年でミニアルバムとシングルを発表したあとのセカンドアルバムのリリース、過剰な電子音、アレンジ、ビート、叫び声、サイケデリック、飛び降りて死ぬまでのスピード、眠りを知らない獅子のような孤独、しかしすべてが愛に転換されている。それらを曲という光に変えるヴィルトゥを彼女たちは持つ。好き嫌いで音楽は聴かない。好き嫌いで映画は見ない。好き嫌いで本は読まない。好き嫌いで人とは話さない。善悪の光で照らさなくてはこの地上に創造をもたらすことはできぬ。誰が言おうと言うまいと、私が先に代わりに言おう。史に刻まれる名を今なぞる。われわれはその名をCHAIと呼ぶ。しかしそれは危険だ。私はおかしいか。良い。馬鹿な。善きことだ。しかしchaiという英雄たちの心身を心より案ずる。「何かが私を突き動かすのを感じる。大きな見えない力が。それによって進む私を何者も打ち砕くことはできず、それによって達した私はいとも簡単に打ち砕かれてしまうだろう。」ナポレオン。そんな感じのことを言った。chaiのインタビューは無数にある。「重圧も恐怖も感じない。もう誰も私たちを止めることはできない。」と最新のインタビューで言った。そんな、いつか、いとも簡単に、打ち砕かれないでくれ、と思う。彼女たちが死ねば胸が張り裂ける。もはや善悪を照らす光も遠いか。好き嫌いという闇。斬、という映画のラストシーンで蒼井優の叫び声「もうやめてください、もうやめてください」。もうやめてくれ。と思ってしまう。しかし征け! 地上をすっかり変えてしまえ。緊張を感じないか。恐怖を感じないか。怒りはどうだ。怒りは感じる。それが曲づくりの原動力になると言った。パンクとは壊すことではなく創ることだと言った。そして青い暗い曲をオレンジの暗い曲へと変えることができると言った。「大人になれば、もっとたくさんできることが増えるよ」と言った。仙台でのライブでのラストシーン「みんな、チャイについて来い」と言った。そしてI am a meを演奏して、去った。しかしこんな可能性もある。彼女たちは本当に恐怖も重圧も感じていない、ろくすっぽ人のイカれ方も知らぬ。ただの陽気な精霊たち。だが違うだろう。違うだろうか。私には闇の中で神格化する巫女たちのすがたが見える。馬鹿な。大げさに言ってるに過ぎない。双子の軍神、ふたりを護る重装騎兵〈ホプリーテス〉。行く手を阻む者があっても大丈夫だろう。数多くの幸運と幸せを祈る。先立つつもりでもわれわれは見送る立場にはない。どうか考えることから逃げないでくれ。どうか思い出すことに力を尽くさないでくれ。と思う。われわれは彼女たちと同じく、創造し続けることでしか生きていけない。われわれが打ち砕かれた後、すっかり地上が変わり果てていることを子供たちは知るだろう。