2018年1月14日日曜日−① 埼玉 和光市 晴れ

ロムルスは逃げた。家族を殺し弟を連れ去ったアルバロンガの軍勢をつよく憎んだ。しかし彼は同時に絶えず何かにつよく引きつけられていた。わたしの中には何かがある。弟のなかにも。そしてそのために町は焼き払われ殺された。わたしたちは羊飼いの血ではない。わたしたちはどこからやって来た。わたしたちはティベレ川のはるか向こうから、わたしたちの親はなんだ、わたしたちは…とここでガサッとかザクッとかいう音が入る。というか、入るというと勝手に映画になってることになるが、入るというかそれは、ロムルスの後方の草薮のなかから聞こえた。だれだ。とロムルスは言った。追っ手がせまってきているのは知っていた。ロムルスは近くにあった木の棒を手にとった。必要なものは勇気のみ。出てこい。「ようやく見つけたぞ」そこからあらわれたのは、ひどくやつれた数人の兵士とひとりの老いた男のすがた、それは、ロムルスとレムスを生んだのちにこの世を去った美しい母親の実の父、彼らの祖父にあたる元第14代アルバ王・ヌミトルのすがたであった。彼らのなかには、アルバ王の血。「ロムルスよ王を討て。弟を救え」

と言ったらやっぱりかっこいい。そしてその双子の血は、千年をこえてまだ絶えず。だとしたらどうか。どうか。と言われてもわたしも知らないがしかし、ロムルスとレムスはやがてひとつの新しい国をうちたてるために互いに剣を取りあうことになる。そしてそれははるかむかし現実にあったことだ。それはつくり話だ、ってじゃあいまこの現実はなんだ。わたしがいま知らない駅のわけのわからない喫茶店のなかにいるこの現実は。だから僕のあたまのなかにしまっちゃうおじさんはいるんだ。いや、それは妄想だよ。でもアライグマくん、うしろ! 

等しい重力のちがった恩寵を受けて地上の物語はくりかえす。ということなり。

それから千年の月日を何度かくりかえし、新しい双子が生まれた。わたしはその双子を知っている。としたらどうか。どうか。と言われても知らないが、しかしこんどの双子は姉妹であった。

 

スナドリネコさんがすがたを消してからもう何日もたった。スナドリネコさんはどこにいったんだろう。こんどはいつもの留守とはちがう。もしかしたらスナドリネコさんは、自分がどこから来たのか思い出したんじゃないか。クズリくんのおとうさんはヒグマの大将とともにスナドリネコさんをさがしはじめた。僕もさがした。

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知らない駅のわけのわからない喫茶店のわけのわからないメニュー